足の静脈瘤 診療内容のご紹介

下肢静脈瘤について

はじめに

下肢静脈瘤とは足の表面にある静脈が拡張して蛇行してくる病気です。本来足に送られた血液は重力に逆らって心臓まで帰ってくるため、押し上げた血液がまた足のほうに下がっていかないように静脈にはいくつもの流防止弁があります。
ほとんどの静脈瘤は足の静脈にある逆流を防ぐための弁が故障するために起こります。
放置しておくと、皮膚が黒ずんでむくみが出てきてこむら返りやひどくなると皮膚に潰瘍ができてきます。

どんな人にできやすいですか?
  • 妊娠後に出てくる場合が女性では50%。
  • 長時間の立ち仕事による過労。
  • 先天的または遺伝的な要素も強い。
  • 肥満の人。
  • 深部静脈が詰まっていたり静脈の流れが悪くなるほかの病気がある人。
どんな症状がありますか?
初期症状
  • 足が重い感じ、特に夕方になると疲れやすい。
  • 足がつったりこむら返りを起こしやすい。
  • 夕方になるとふくらはぎやすねがむくんでくる。
  • ふくらはぎの不自然な痛み。
進行した症状
  • 見た目にも太く蛇行した血管が見える。
  • 拡張した血管の周囲が黒ずんでくる。
  • 擦り傷や引っかき傷が治らず傷から液が染み出す。
  • 皮膚が硬くなり潰瘍ができたりする。
  • 拡張した血管の中に血が固まって(血栓)それが奥の太い静脈まで詰めてしまったり(深部静脈血栓)その血栓が肺に飛んで詰まり危険な状態になる(肺塞栓、肺梗塞)。
治療方法は?
1. 手術療法:
 静脈瘤の治療の原則はまず手術です。本来は見えている拡張した静脈をすべて取り除いてしまう方法がよく行われます。多くの場合足の付け根の所の静脈弁が故障していることが多くここを切って太ももの内側の静脈を抜き取るストリッピングという手術です。
 しかしこのストリッピング手術は2週間ほどの入院と腰椎麻酔が必要で、傷が多数でき、術後の足の痛みや術後しばらく歩行しにくいことなど患者さんの苦痛も多いです。
 そこで最近静脈瘤を専門的に治療している医師の間で、この後に述べる静脈瘤けっさつ術ように、できるだけ患者さんにダメージが少なく入院せずに外来で治療できる手術方法が広まってきています。
2. 硬化療法:
 血管の中に血管に炎症を起こして収縮させる薬(硬化剤)を入れて治療します。
 手術せずに硬化療法のみで治療した場合、50%が3年以内に再発すると報告されており通常手術と硬化療法を併用します。
3. 圧迫療法:
 静脈瘤専用の圧迫弾性ストッキングを履いて治療しますが、圧迫だけでは静脈瘤の進行をゆっくりにするのみで根本的な治療にはなりません。
 通常手術後や硬化療法後に補助として履いていただきますが、朝起きてから寝るまでの間着用し、夜間寝ている間は履く必要がありません。
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当クリニックで行っている最新の静脈瘤治療について

 前述したように静脈瘤の治療の原則は手術です。
 しかし2週間の入院に腰椎麻酔でのすべての血管の摘出手術は、術後の痛みや傷の多さ、入院による日常生活の制限など患者さんに不利益を伴います。
 そこで最近静脈瘤を専門に治療している医師の間で局所麻酔での日帰り手術による静脈瘤結紮(けっさつ)術[静脈瘤を全部取り除くのではなく、血管を縛るだけの手術]に硬化療法を併用する治療が盛んに行われ、患者さんに苦痛の少ない非常に効果的な治療として注目されています。

最新の静脈瘤治療法
1. 静脈瘤高位および低位けっさつ術
足の静脈瘤に対する局所麻酔での日帰り手術療法

この方法は太く蛇行した静脈瘤をすべて取り除くのではなく、逆流の原因となっている静脈弁のすぐ下をくくることにより血液の逆流をなくし、術後に静脈瘤専用のストッキングで圧迫することで静脈瘤を取り除かずに徐々に縮めていく治療です。
多くの場合術後に硬化療法を併用します。

  • まず超音波(エコー)検査で太くなった静脈瘤の流れを確認し、どの部分の静脈弁が故障しているかを確認します。
  • 8割の患者さんの原因は太ももの付け根の静脈弁が原因ですが、膝の裏の静脈弁が原因の人もいます。
  • 局所麻酔でまず太ももの付け根の部分で静脈瘤を糸で縛って逆流を止めます。次に膝の内側の部分で同じように静脈瘤を縛ります。局所麻酔であらかじめ超音波検査でマーキングしたところを3cmほど切って静脈瘤を糸でくくります。 通常1箇所につき10-15分ぐらいで終わります。術後は歩いて帰れますし、仕事や日常生活も特に制限はありません。
  • 膝の裏が原因の場合はここで静脈瘤を糸で縛ります。この場合静脈が深いところにあり、手術は30分ぐらいかかります。
    足の静脈瘤に対する局所麻酔での日帰り手術療法図
  • どちらの手術も術後約1週間で抜糸しますが、その間も創部を防水テープで保護するため手術翌日から通常通り入浴が可能で、1ヵ月後に静脈瘤の縮み具合を見て次に説明する硬化療法をするかどうか決めます。それまでの間は静脈瘤専用のストッキングを朝起きてから夜寝るまでまたは入浴まで毎日履く必要があります。
術後の合併症
  • 血液の流れをよくする薬(バファリンやバイアスピリン、ワーファリンなど)を飲んでいる場合、血がとまりにくく出血しやすくなりますので1週間以上前から中止していただきます。  
  • 術後に残っている静脈瘤に血栓(静脈瘤の中に血の塊ができること)や色素沈着が見られることがあります(20〜30%)が、半年から1年で自然に消えていきます。
  • 術後に傷が化膿したり、傷の周囲がしびれたりすることがあります。化膿は薬と消毒で治りますし、しびれは数週間でなくなります。
  • 今回の手術をしても数年から数十年で再発してくる場合が少なからず報告されています。これは静脈瘤を結紮した部分よりさらに奧に手術時には核に出来なかった非常に細い枝が隠れていてそれが徐々に発達して再発してくる場合と、新たに他の場所の静脈弁が壊れてくることが原因です。
    特に親族に静脈瘤の方がおられる場合は再発の頻度は高くなります。
2. 静脈瘤硬化療法

手術をしたあとに、残っている静脈瘤に対して行います。軽い静脈瘤では手術せずに硬化療法のみで治療します。使用する薬は滅菌した濃い食塩水で、これは血液を固めるのではなく血管壁に炎症を起こさせて静脈瘤を縮めていく治療です。
方法は点滴用の針を残っている静脈瘤に刺して1箇所につき1mlずつ注入していきます。
通常片方の足で数箇所行います。注入後はガーゼで翌日まで圧迫しておき、翌日からは通常通り、弾性ストッキングを着用してもらいます。

硬化療法後の合併症
  • どんな薬でもアレルギー反応がでてショックになる場合がありますが、硬化剤に食塩水を使っているため薬によるショックなどはほとんどありません。
  • 手術と同じように血栓や色素沈着が20-30%に見られます。同様にその血栓が肺に飛ぶ肺塞栓を起こす可能性もごくまれにあります。
3. 弾性ストッキングによる圧迫療法

静脈瘤治療の基本です。手術をした後も硬化療法のあともこの弾性ストッキング(普通のストッキングよりしまりの強い治療用の静脈瘤専用ストッキング)を履かないと治療効果が薄れる上に合併症の頻度が増えます。
朝起きてから夜風呂に入るまで毎日履く必要がありますが。寝ている間は履く必要ありません。 できれば長時間の立位は避け、寝ている間は足を高くして休んでください。
静脈瘤があると足がかゆくなったり湿疹ができやすくなるので足を清潔に保つようにしてください。 弾性ストッキングによる圧迫療法の手術前 手術後
写真は術後の患者様の状態で、左側が術前の写真、右が術後2ヶ月経った時の写真です。

静脈瘤の治療スケジュール
  • 超音波(エコー)検査で静脈瘤のどの部位に原因があるのかを詳しく調べ、手術で血管をくくる部位を決めます。 静脈瘤専用弾性ストッキングを購入しておきます。(1足2-3000円)
  • 手術当日、手術前に再度超音波検査で手術部位にマジックでマーキングします。
    局所麻酔で1箇所につき約3cmほど切って手術をします。1箇所に10-15分ほどかかります。
  • 術後は化膿止め(抗生剤)を数日内服してもらいます。
    1週間後に抜糸するまでは1日おきに消毒に通院し、その間も創部を防水テープで保護するため手術翌日から通常通り入浴が可能です。
  • 抜糸後も弾性ストッキングによる圧迫は続け、約1ヵ月後に静脈瘤の状態を見て、硬化療法を追加するかどうか決めます。
    通常間隔をあけて2-3回行います。
  • 硬化療法終了後も1-2ヶ月は弾性ストッキングを着用し、静脈瘤の縮小の具合を見ながら徐々に弾性ストッキングの圧迫をやめていきます。
    通常ここまでで2-3ヶ月の予定です。
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